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私たちは、たくさん見てたくさん忘れる。

私たちは、たくさん見てたくさん忘れる。
35年も会社をやっていて、たぶん初めてCI(会社のあるべき姿)を変更しました。これまでにもロゴをリニューアルする、サイトをリニューアルするということはありましたが、在りたい姿を変えていくというのは、今回が初めての挑戦かもしれません。

脳が覚えておくもの、忘れてしまうもの。

ご存知の通り、私たちの生活はインターネットの常時接続によって、いついかなるときでも情報にアクセスすることができるようになりました。しかし適切な量の情報を摂取するのはむずかしく、ついつい情報を摂り過ぎてしまいます。 情報を摂取する量が爆発的に増えたと同時に、私たちが忘れる量もまた爆発的に増えています。日々SNSのタイムラインを流れてくる記事も、あんなにたくさん読んでいるのに思い出せる記事はごくわずかです。

私たちはなぜ忘れてしまうのか、一般に言われている記憶のメカニズムについて図解しておきます。

有名な話なので知っている人も多いかと思いますが、脳には大きく分けて「短期記憶」と「長期記憶」という場所があります(本当はもっと複雑ですが、ここでは理解を優先して簡単に書きます)。

僕らが出会った情報は、まず短期記憶という場所に記憶されます。ここに記憶された情報は、重要でないと判断された場合、数十秒から数か月で忘れ去られてしまいます。 例えば、電話番号やWi-Fiのパスワードなど、「メモしておけばよいもの」は重要ではないので忘れてしまいます。他にも、昨日の晩御飯など、「すでに覚えていることと似た情報」も覚える価値はないので忘れてしまうのです。

短期記憶に入った情報の中で、重要だと判断されたものは長期記憶という場所に移ります。ここに入った記憶は短期記憶の情報とは違って、非常に長い間、記憶しておくことができます。

・自転車の乗り方やタイピングの仕方など、体で覚えるような類のものは「手続き記憶」 ・言葉など意味などで整理できる記憶は「意味記憶」 ・エピソードとともに語ることができる記憶は「エピソード記憶」

といい、長期記憶の中でも記憶をいくつかの種類に分類することができます。

つまり長い間記憶に留めてもらうためには、ただ情報をぶつければいいということではなく、

・体で覚えてもらう ・意味で覚えてもらう ・状況で覚えてもらう

というような工夫を施した上で、情報を投下する必要があります。

「記憶に残る」をデザインする。

重要ではないと判断された情報は、長期記憶に移る前に忘れてしまいます。私たちが、生活の中で見ているはずの多くの広告を覚えていないのはそのためで、せいぜい今覚えているのは、友達が言ったこと・書いたことくらいなのではないでしょうか。 こうなってくると、私たちがすべき仕事も変わってきます。もはやすぐに忘れてしまう情報をつくることに価値はなく、いかに記憶に残る情報をつくれるかが腕の見せ所なのです。

私たちは、その可能性をブランディングに見出し、新しいCIを「世界をよりよくする挑戦を、コミュニケーションデザインの力で支えるブランディングパートナー」としました。 従来の印刷物、Web、ムービーに加え、新しい体制では、体験領域にも活躍のフィールドを広げ、ワークショップやVRコミュニケーションなどを含めた記憶に残る手段でのコミュニケーションを手掛けていきます。

あなたの挑戦が、人の記憶にできるだけ良い形で残るように、私たちは全力を尽くします。

山田 裕一
この記事を書いた人 山田 裕一 CEO / BRANDING FACILITATOR
東京都調布市に生まれ、ずっと京王線沿いで育ちました。浅草に事務所を構えるようになってからは、週のほとんどを浅草で過ごし、訪れた飲食店の数は200以上。モーニング、ランチ、ディナーそれぞれにおすすめがあるので、お店選びに困ったら遠慮なく聞いてください...
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