脳が覚えておくもの、忘れてしまうもの。
ご存知の通り、私たちの生活はインターネットの常時接続によって、いついかなるときでも情報にアクセスすることができるようになりました。しかし適切な量の情報を摂取するのはむずかしく、ついつい情報を摂り過ぎてしまいます。 情報を摂取する量が爆発的に増えたと同時に、私たちが忘れる量もまた爆発的に増えています。日々SNSのタイムラインを流れてくる記事も、あんなにたくさん読んでいるのに思い出せる記事はごくわずかです。
私たちはなぜ忘れてしまうのか、一般に言われている記憶のメカニズムについて図解しておきます。
有名な話なので知っている人も多いかと思いますが、脳には大きく分けて「短期記憶」と「長期記憶」という場所があります(本当はもっと複雑ですが、ここでは理解を優先して簡単に書きます)。
僕らが出会った情報は、まず短期記憶という場所に記憶されます。ここに記憶された情報は、重要でないと判断された場合、数十秒から数か月で忘れ去られてしまいます。 例えば、電話番号やWi-Fiのパスワードなど、「メモしておけばよいもの」は重要ではないので忘れてしまいます。他にも、昨日の晩御飯など、「すでに覚えていることと似た情報」も覚える価値はないので忘れてしまうのです。
短期記憶に入った情報の中で、重要だと判断されたものは長期記憶という場所に移ります。ここに入った記憶は短期記憶の情報とは違って、非常に長い間、記憶しておくことができます。
・自転車の乗り方やタイピングの仕方など、体で覚えるような類のものは「手続き記憶」 ・言葉など意味などで整理できる記憶は「意味記憶」 ・エピソードとともに語ることができる記憶は「エピソード記憶」
といい、長期記憶の中でも記憶をいくつかの種類に分類することができます。
つまり長い間記憶に留めてもらうためには、ただ情報をぶつければいいということではなく、
・体で覚えてもらう ・意味で覚えてもらう ・状況で覚えてもらう
というような工夫を施した上で、情報を投下する必要があります。