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クリエイターが育成に向き合うならまず読んどけ的良書『職場が生きるひとが育つ「経験学習」入門』

クリエイターが育成に向き合うならまず読んどけ的良書『職場が生きるひとが育つ「経験学習」入門』
会社として改めて人材育成に向き合っていく中で、人は学ぶときにどういうプロセスをたどっているのか、というような「学びの構造」をきちんと理解する必要があると思いました。 そんな中で出会ったのがこの一冊。いやーけっこうすっきりしました、基本的な部分はこれさえ読んでおけばいいんじゃないかと! クリエイティブ業界で、若手・中堅の育成に悩んでいるというマネージャーにおすすめなので、ここで紹介してみたいと思います。

「経験学習」とは?

「経験学習」とは、文字通り「仕事の経験を通じて学習すること」を意味しています。 本を読むとか、セミナーに参加する、といった受動的な学びではなく、自分自身が経験した事実から学びを得ていく、というようなニュアンスです。

優れたマネージャーの経験を長年調査してきた米国の研究所によれば、成人における学びの七〇%は自分の仕事経験から、二〇%は他者の観察やアドバイスから、一〇%は本を読んだり研修を受けたりすることから得ていることがわかりました。

―引用元:『職場が生きるひとが育つ「経験学習」入門』

 

ほぼ「自分の仕事経験」からしか学べてない!

クリエイティブという、答えのないテーマを追い続ける日々。 それなのに、学びの仕組みを持たない企業は本当に多い気がしています。 生きる術を自分自身で身に付けられた人は、生き残る。 できなかった人は、別の才能があっても脱落していく。 この適者生存の世界が続くと、日本の商業デザインの未来はけっこう危ういんじゃないかと思っています。

まぁ、この話は長くなってしまうので続きは飲み屋で…。 (興味ある方、お声がけください笑)

経験から学ぶための三要素

適切な「思い」と「つながり」を大切にし、「挑戦し、振り返り、楽しみながら」仕事をするとき、経験から多くのことを学ぶことができる

―引用元:『職場が生きるひとが育つ「経験学習」入門』

 

この中の「挑戦し、振り返り、楽しむ」という三要素を、この本では「ストレッチ、リフレクション、エンジョイメント」というキーワードで表しています。

1:ストレッチ
ストレッチとは、問題意識を持って、挑戦的で新規性のある課題に取り組む姿勢のことです。

―引用元:『職場が生きるひとが育つ「経験学習」入門』

 

クライアント企業や業種、求められるレベル感が固定化してくると、成長が鈍化し、やがて「できること」ばかりになっていきます。それはそれで望ましい面もあるのですが、いずれはクライアントを取り巻く環境の移り変わりについていくことができなくなり、どこかのタイミングでお役御免、ということになりかねません。

できることをやって感謝される、というのは気持ちいいものですが、できないことに自らチャレンジしたり、やらざるを得ない状況を作る、というのがすごく重要だと思いました。

 

あと、クリエイティブ業界においては、若手にとっては一定のストレッチ機会はあるなと思ってます。 いわゆる「無茶振り」というやつです。

ただ、マネージャーが若手の成長のために機会を提供する、というニュアンスではなく、「根性で乗り越えてみなはれ」という類のものがまだまだ多い。これがまさに適者生存の世界というやつで、今生存しているのは間違いなくこの世界を生き抜いてきた人たちなので、(自分を成長させてくれたのと)同じ方法で、若手に対しても教育をしてしまう、という負の循環があるように思います。

だからこそ、学びを構造化して、“かつての適者”じゃなくても成長していける仕組みを作る必要があると思うんです。

 

2:リフレクション
行為の後に内省するだけでなく、行為をしている最中に内省することが含まれています。 一日の終わりやプロジェクト終了後に、成功や失敗を振り返ることで、教訓を引き出すとともに、仕事をしている最中に「問題の本質は何か」「この方法でよいのだろうか」と試行錯誤を繰り返すこともリフレクションに含まれています。

―引用元:『職場が生きるひとが育つ「経験学習」入門』

せっかく良い経験をしても、その意味を深く考えなかったり、成功や失敗の原因を振り返らないと、そこから十分な教訓を得ることはできません。

―引用元:『職場が生きるひとが育つ「経験学習」入門』

 

ことクリエイティブ業界においては、今一番欠けているのはここなんじゃないかと思います。ただ目の前の仕事を無事に納品することに精一杯で、振り返りの時間が圧倒的に足りていない。

自分自身もものすごく反省するところがありまして、かつて在籍していた会社でひとり事業部みたいな働き方をしていたときに、失敗することが減ってしまい、振り返ることを怠っていた時期が3年間ぐらいありまして、まったく成長できていなかったという自覚があります。

ストレッチ不足の問題でもありますが、結果的にはその先にあるリフレクションが不足していたんだなと。

マネージャーの立場としては、積極的にリフレクションを促しながら、経験を学びに変換していくサポートをしていく必要があります。 例えば日々の制作においてディレクションで関わっているときに、意図しないデザインをメンバーが提案してきたときは、答えをそのまま教えるのではなく、考えたプロセスを聞きつつ、お互いの認識の差異を埋めていくというコミュニケーションをとることが大切だなと思いました。

3:エンジョイメント
エンジョイメントとは、自分の取り組む仕事に意義を見つける姿勢を指しています。 エンジョイメントというと単に仕事を楽しんでいるというイメージがあるかもしれませんが、ここでいうエンジョイメントは、常にプラス思考で、一見つまらない仕事、きつい仕事の中に意義や面白さを見いだそうとする姿勢を指しています。

―引用元:『職場が生きるひとが育つ「経験学習」入門』

 

楽しくないと学ぶモチベーションも続かない。これは学びの根本的な部分を担う事実だなと思います。

修行は苦しくあらねばならない的な考え方もあるのかもしれませんが、そこに適度なストレッチとリフレクションの機会があればいいわけで、耐え忍ぶことが美徳という、日本人に染み付いた考えは意識して捨てていかないと誰も幸せにならないよなぁと。

ネガティブなことがひとつあるとモチベーションがガタ落ちしてしまう人と、小さくてもおもしろポイントを見つける癖が身に付いている人とでは、成長スピードも大きく違うという実感がある方も多いんじゃないでしょうか。

クリエイター育成のために意識するべきポイント

クリエイティブチームのまとめ役だけじゃなく、メンバーの育成も担うようなプレイングマネージャーは、次の3つを心がけることが大事だなと思いました。

  1. いい感じのストレッチの機会を提供する
  2. 必要なタイミングでリフレクションをうながす
  3. 仕事が楽しいと思える状況を作る

 

また、この本では上記のような「能力的成長」とは別の「精神的成長」という軸にも触れられているので、興味がある方はぜひ一度読んでみてください。

クオーターバックでも、いろいろとテストしながら、経験学習を促進するための仕組みを構築していきたいと思います。

 

塚本 清志
この記事を書いた人 塚本 清志 ON BOARD / BRANDING DIRECTOR
大学在学中から、遊べる本屋・ヴィレッジヴァンガードで販促を学び、Webプロダクションのコピーライターとしてキャリアをスタート。その後、コミュニケーション企画・制作会社の創業メンバーに。コーポレート・リクルート・サービス・ECなど、マーケティング戦略...
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