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オンラインサロンを作ろうとして盛大に失敗した話。

オンラインサロンを作ろうとして盛大に失敗した話。
こんにちは、まだまだ失敗も成功も足りない気がするクオーターバックの山田です。久しぶりの社長ブログとなるこの記事。何を書こうか5分くらい迷ったのですが、もう時効だと思うので、オンラインサロンを作ろうとして失敗した話を書きたいと思います。

オンラインサロンやります、テーマは「新しい住まい方」だ!

2018年くらいだったと思います。オンラインサロンという何やらキラキラとした言葉が流行り始めたころ、僕は友人に誘われて、新しい住まい方を発明するコミュニティ“sumuku lab(すむくらぼ)”の創立に携わることになりました。

 

今でこそバンライフや二拠点生活という言葉が有名になりましたが、当時はまだそこまで。言葉を聞いても、聞いたことがあるような無いような感じだったのを覚えています。

 

僕らのコミュニティは、創立メンバーが6人いて、

・家無し「遊動生活」を送っている女性

・「バンライフ」を送る若夫婦

・「住み開き」をやろうとしている人

・「住み開き」の卒業者

・都心のタワーマンションに住む僕

の計6人

 

メンバーの中では僕だけ、まったく「新しい住まい方」をしていませんでしたが、コミュニティの運営に興味がある!ということで仲間に混ぜてもらいました。ロゴやサイトを準備して、テーマに関心がありそうな人に声をかけて、オンラインサロンをスタートすることになりました。

住まいの概念をはみ出すという想いが込められた、sumuku labのロゴマーク。弊社作成。

 

ひとまず僕らのコミュニティでは、3つの「新しい住まい方」を取り扱うことにしました。

①遊動生活

自宅を持たずに各地に拠点を作りながら転々とする「住まい方」。似たようなものに二拠点生活、無拠点生活があります。メディアなどでは、デュアラー、アドレスホッパーなどという呼び名も登場しました。

②バンライフ

車で各地を転々としながら車で寝泊まりするライフスタイル。ここ数年で非常に有名になった「住まい方」だと思います。バンライフができる車を貸し出すサービスなども増えましたね。

③住み開き

これが一番聞きなれないかもしれませんが、家の一部を地域に開放する「住まい方」。元々は京都の土間文化が発祥とも言われています。「一階を開放して二階は家族だけのプライベート空間にする」みたいな感じです。

ワーケーションブームなども手伝い、今ではかなり「市民権」を得ている気がしますが、当時はどれも「まだまだ知る人ぞ知るライフスタイル」でした。

継続してコンテンツを提供するむずかしさ

僕らのコミュニティの売りは、新しい住まい方の実践者がいること。創立メンバー6人のうち4人は現在進行形で「新しい住まい方」をしていたので、毎週それぞれの実践者がオンライントークイベントを立て、自分の住まい方のレポートや、各地で見つけた状態のいい空き家を紹介するといった活動をしていました。

 

身内の話ですが、コンテンツ自体はなかなか面白かったと思います。

 

『遊動生活にかかる生活費のリアル』

『山の上に立ててもいいね、土地探しから始める住み開き』

『バンライフ、移動できる家と法律の絡み』

 

上記はあくまで一例ですが、どのコンテンツも実践者の熱量を感じるいいトークイベントになったかと思います。

 

…とまあ、最初のうちはよかったのですが、結論を言うとすぐに「ネタ切れ」になりました。それもそのはず、基本的には実践者たちの日常の切り売りですから、話すことがなくなります。定期的に行われていたトークイベントもネタ切れによる中止や延期が相次ぎ、早くも数か月で「予定していたサービスを提供できない事態」に陥ってしまいました。

 

張り切って友達たちをコミュニティに誘い、スタートしたsumuku labでしたが、開始早々、数か月でネタ切れに。月額課金制(会費は月に1000円)にしていたこともあって、運営メンバーにはサービスをきちんと提供できない罪悪感が募っていきました。

教訓や知見、仲間たち。得たものばかりの大失敗

 

コンテンツはネタ切れになりながらも、

・「定住生活と遊動生活」をテーマにした読書会

・勉強になりそうな地方への視察ツアー

・スーパー銭湯飲み会(末期)

など、活動自体は1年半くらい続いたと思います。最終的には、集めていた会費を会員のみなさんに返金して僕らのオンラインサロンはクローズとなったのですが、この失敗や経験を通して実にいろんな学びがありました。会社のブログではありますが、ここに何かを感じ取ってもらいたいので思いつく限り書き連ねてみたいと思います。

[学んだこと・得られたこと]

・オンラインサロンも、何か共通して目指すもの(モチベーションの源泉となるもの)を意図的に作らないと継続するのはむずかしい

・日本には、施設の管理人などをしながら家賃ゼロで生活している人たちがたくさんいる

・「欲しいと発信すれば、誰かがくれる」そんな循環社会が日本にはある。コミュニティのメンバーの中にもタダで車や住まいを譲り受けている人がチラホラといた

・「衰退した観光地の再生ストーリー」とその舞台裏について現地の人に直接聞くことができた

・コミュニティの中で信頼できる仲間ができた (後に仲間が始めた『放置竹林でつくるちょっと新しいメンマ・メンマチョ』プロジェクトのネーミングやパッケージデザインを弊社で担当したり、『つながりのデザインを体現したQB新オフィス・SNAP』の空間デザイン・施工をコミュニティの仲間にお願いすることができた。)

・いろんな地方に会ったことのない友達ができた

・地方という言葉の乱暴なまでの括りに気が付いた

・大きな空き家をどのように活かそうかお泊りしながらみんなで作戦会議した

・僕らが当たり前にしている「定住」こそ、人類にとっては革命だった

・二拠点生活は、出稼ぎや家族の事情など、「せざるを得ない人」も大勢いる

・たとえ収入が少なくとも、住まい方次第で豊かな暮らしを送るすべはたくさんある

・貸しスナックを使ってみんなでやったスナックごっこは楽しかった

 

…ほかにも、楽しい思い出や学んだことがたくさんありました。

 

オンラインサロンを解散する際には、卒業論文的なものも書きました。リンクを張っておくので、どうにもこうにも暇すぎるという方のみリンクをクリックしてください。

卒業論文:ヒトがつくった獣道。(山田裕一)

「ちがいのちから」で自分たちの未来を強くする

今回の失敗は、オンラインサロンを運営し続けるという観点で見ると失敗だったのですが、トータルで見ると、失敗の意味を見失うほどたくさんの学びやチャンスメイクがありました。

よく「なぜそんなことやるの?本業と関係ないことを」というニュアンスでやっていることについて聞かれますが、僕は自分の本業に直接関係ないことを勉強することにこそ、自分たちの未来を強くする「ちがいのちから」を獲得するヒントが詰まっていると思うのです。

当然、みんな本業に関係あることは勉強します。けれども、それだと「ちからの差」でライバルたちに勝っていかなければなりません。純粋な気持ちで本業について勉強すればするほど、ドラゴンボール的な殴り合いの展開に追い込まれてしまいます。そこでお勧めしたいのが「ちがいのちから」を身に付けること。ちがいのちからを身に付けるためにおすすめなのが、「本業に直接的に関係なさそうなこと」を勉強することです。ここを勉強することで、そこで得た新しい知識やネットワークと本業を掛け合わせて価値にするような「他とのちがい」が生み出せるのです。

 

今回の記事で伝えたかったのは、失敗のその先は案外美しいということ。そして、一見、本業に関係なさそうなことでも、うまく取り入れれば「ちがいのちから」になるよということでした。ここまで読んでくれてありがとうございます。また、次の社長ブログでお会いしましょう。

山田 裕一
この記事を書いた人 山田 裕一 CEO / BRANDING FACILITATOR
東京都調布市に生まれ、ずっと京王線沿いで育ちました。浅草に事務所を構えるようになってからは、週のほとんどを浅草で過ごし、訪れた飲食店の数は200以上。モーニング、ランチ、ディナーそれぞれにおすすめがあるので、お店選びに困ったら遠慮なく聞いてください...
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