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ファンとつくるブランドの未来『ファンベース』読書レポート

ファンとつくるブランドの未来『ファンベース』読書レポート
企業が営業活動や販促を行う際、限られた資本の中で、誰に向けた施策に注力すべきなのか、ということはずっとついてまわるテーマだと思います。 『ファンベース-支持され、愛され、長く売れ続けるために-』 この問いへの一つの答えが、この本にはありました。

ファンベースとは

思いのほか曖昧にしがちな「ファン」の定義

ファンベースの話をするにあたって、まず、「ファン」の定義を明確にしておく必要があります。 「ファン」と聞くと、スポーツやアイドルを筆頭に、とても熱狂的な様子を想起しやすいですが、 この本では、ビジネスにおけるファンの定義を以下のようにしています。

「企業やサービス、商品が大切にしている価値を支持している人」

―引用元:佐藤尚之(2018)『ファンベースー支持され、愛され、長く売れ続けるために』ちくま新書

ファンを土台(ベース)にして考える

本書ではファンベースを

ファンを大切にし、ファンをベースにして(ベースには、土台、支持母体、などの意味がある)、中長期的に売上や価値を上げていく考え方だ。

―引用元:佐藤尚之(2018)『ファンベースー支持され、愛され、長く売れ続けるために』ちくま新書

と定義しています。 では、ファンベースを実践することで、具体的にどのようなメリットがあるのかを紹介します。

ファンベースがもたらす3つのメリット

1 売上のほとんどはファンの方たち
少数のファンが売上の大半を支えている。

引用元:佐藤尚之(2018)『ファンベースー支持され、愛され、長く売れ続けるために』ちくま新書

つまり、今いるファンを大切にして彼らのライフタイムバリューを上げていくことは、収益の安定・成長に直結する

引用元:佐藤尚之(2018)『ファンベースー支持され、愛され、長く売れ続けるために』ちくま新書

本書では、上記のメリットを、「80:20の法則」や事例を引き合いに展開していきます。さらに、この「80:20の法則」は、商品やジャンルを問わずに見ることができるようです。

2 時代や社会の流れに左右されすぎない

日本においては、人口減少による市場の縮小と、モノやコトであふれかえった超成熟市場の中で、 新規顧客の獲得がよりいっそう困難になっています。 認知度拡大を狙った施策も、情報の海に埋没(情報砂の一粒時代)してしまい、ターゲットにとても届きにくいのが現状です。 こうした現状を踏まえると、すでにいるファンを大切にする、という重要度はかなり高く思えます。

 

3 「類は友を呼ぶ」の原理で、ファンがファンを生んでいく
価値観が近い人は愛用しているモノは自分も愛用する可能性が高い

―引用元:佐藤尚之(2018)『ファンベースー支持され、愛され、長く売れ続けるために』ちくま新書

口コミの威力は、皆さんも日頃、実感することが多いかと思います。 価値観の近い友人からの発信であれば、なおさらです。 商品やサービスは、人づてに広がっていきます。 そして、その情報は広告よりも信頼できる場合も多い。 今いるファンを大切にすることが新規顧客の獲得につながる、というのは自分の経験を振り返っても納得感が強いです。

ファンの支持を生む3つのアプローチ

特定の企業やブランド、商品との接点を持った生活者は、ファンになる入口に立ったと言えます。そんな彼らの支持をどのように高めていくか。 この本では、3つのアプローチが紹介されています。

1 共感を強くする
あなたの企業やブランド、商品が大切にしている「価値自体を上げる」

―引用元:佐藤尚之(2018)『ファンベースー支持され、愛され、長く売れ続けるために』ちくま新書

ファンの声に傾聴し、その期待に応えることで、ファンは自社への共感をより強めます。また、自社サイトで、ファン同士がお互いの意見を閲覧できる環境を作ったり、ファン限定のイベントを開くことも共感を高める手段のひとつ、と本書では紹介されています。

2 愛着を強くする
ブランドや商品を「他に代えがたい」ものにする。

―引用元:佐藤尚之(2018)『ファンベースー支持され、愛され、長く売れ続けるために』ちくま新書

私たちは、商品やサービス単体の魅力に加えて、それらがまとう「物語」に感動し、ファンになることが多くあります。また、SNSや実店舗等で直接、生活者と関わる機会を持つことも、ファンに愛着を抱かせる要因のひとつ、とこの本には紹介されています。

3 信頼を強くする
信頼される要素を、ひとつずつ増やしていく。

―引用元:佐藤尚之(2018)『ファンベースー支持され、愛され、長く売れ続けるために』ちくま新書

自分たちの経済活動が、生活者や社会に対して誠実であるかを追求します。 このとき重要なのは、社内のメンバーにも同様に目を向けることだ、と本書では言及しています。

社外、社内問わず誠実な姿勢を行動で示し、自分たちの取り組みや社員の生の声を世の中に発信することで、ファンはますますその企業を応援したいと思うようになります。

 

この3つのアプローチを徹底的に実施した上で、さらに支持を強めるアップグレード施策が本書には記載されています。気になる方は、ぜひご一読いただけると嬉しいです。

まずは自分たちの価値を明確にすることから

ファンベースの肝は、言うまでもなく「ファン」の存在です。 そのため、まず、自分たちの提供価値を明らかにすることが、ファンベースを実践するための出発点になります。 自分たちが大切にしている価値の言語化と社内で共通認識をもつことが、ファンを増やすうえで重要だと、私は考えます。

価値の発見方法として社内で検討するのもひとつの手ですが、本書では、以下のようにも紹介されています。

「どうやら『このような価値を大切にしている人』がファンになってくれている」という事実から逆算して、「あなたの企業やブランド、商品が大切にしている価値」を考え絞っていくというやり方だ。

―引用元:佐藤尚之(2018)『ファンベースー支持され、愛され、長く売れ続けるために』ちくま新書

ファンとともに歩む楽しさを

世の中に存在している企業、サービス、商品、人々には必ず存在する理由があります。 そして、大切に思ってくれている人たちがいます。

モノやコトが溢れている世の中で、出会えたこと自体が、とても尊い縁だと思います。 まずは、自分たちを支持してくれている存在に気づき、耳をすますこと。 そのうえで、彼らへの感謝の想いを行動で表現することが、きっと大事なはずです。

ファンベースで大事なのは、出会えたつながりを大切にしながら、ファンと描いていく未来にどれだけワクワクしながら実践できるか、ということだと私は思います。

本書では理論に加えて、企業や商品の段階に応じたファンベースの実践方法が、事例とともに述べられています。 自社の状況と照らし合わせながら、施策の実施検討ができるので、ぜひご活用ください。

松井 稜弥
この記事を書いた人 松井 稜弥 COPYWRITER / FACILITATOR
静岡県出身、サッカー好き。小学校と中学校社会科の教員免許を保有。学生時代は、インドやケニアなどで貧困やギャングの過激化防止といった活動を行う。 その後、バングラデシュに住む貧困層の雇用創出を目的とした牛革製品ブランドを展開する企業に新卒で入社。自...
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