FILTER
CLOSE

【イベントレポート】ファシリは意図に満ちている 〜プレイフルな2人から見つける、わくわくする場のつくり方〜

【イベントレポート】ファシリは意図に満ちている 〜プレイフルな2人から見つける、わくわくする場のつくり方〜
こんにちは!広報部の松井です。 2025年2月1日(土)にSNAPで開催されたイベント、「プレイフルリーダーズ体験会」。ファシリテーターのモックンとてっちゃんが織りなす時間は、心地よく、わくわくするものでした。 今回は、ファシリテーターの肩書きを持つ僕の視点から、その模様や発見、そして、随所に散りばめられたお二人の”意図”をちょこっとだけ紹介していきます。

※プレイフルリーダーズとは

モックンとてっちゃんの2人が主宰するプログラム。 対面のワークと、オンライン上でのグループワークを通じて、参加者、そして自分自身が熱狂しPLAYFULな場にしていく、そんな場を作るための理論と実践の機会を学びます。プレイフルリーダーズに関する情報はこちらのURLからご覧いただけます。

https://playfullearner.notion.site/PLAYFUL-LEADERS-dc76d2eeedb14a898a373865f1f49c58

場は、みんなでつくるもの

イベントには僕を含め10名の方々が参加しました。

はじまりは、ファシリテーターの2人と参加者全員が車座になるところから。 参加者の様子を見渡しながら、てっちゃんが最初の声掛けをします。

てっちゃん

みんなで、この場をつくることができたら嬉しいです。僕ら2人のちからでは無理なので...

それに対して、モックンも、

モックン

そうだよね!みんなでつくる場だよね!

とあいづちを打っていました。

ファシリテーターというと、”場を仕切る人/場を中心となってまわす人”と思いがち、思われがち。

かく言う僕も、ファシリをする際「自分がなんとかしなきゃ!」と肩に力が入ってしまうことがあります。

その場にいるみんなが、場への責任をちょっとずつ持つ。そう声を掛けられると、自ずと場に対する自分の向き合い方が定まります。

 

イベントの大枠の説明後、名前やイベントに期待することなどを画用紙に書いていく時間に。色とりどりの画用紙とペンから、自分が好きなものを選びます。

面白かったのは、「この場に導いてくれたご縁を3つ書いてください」というお題。

「参加した理由を書いてください」と問われたなら、スラスラ書けたかもしれませんが、「ご縁」となると、難易度があがります。あまり日常では使わない言葉で問われたことで、脳が活性化しはじめます。

グループに分かれて書いた内容を共有した後、画用紙を地面に置いて、歩き回りながら、みんなで観察!

目の動かし方が変わったり、身体的な動きが入ったりするだけで、新鮮な気分に。

その後、「書いてある内容に共感する、というところに集まってください!」との声掛けがあり、参加者がゾロゾロと移動。参加者からは、「人との物理的距離が縮まることで、心の距離も近くなった気がする!」との声もありました。

 

息ぴったりな2人による、コーリード

ファシリをする2人の様子は、まるで漫才を見ているかのよう。参加者の様子や場の雰囲気を見ながら、

モックン

つぎいく?

てっちゃん

いこうか!

モックン

このワークは書くほうがいいかな?

てっちゃん

書くのはやめて発表にしよう!

とライブ感たっぷりな展開です。こうした1人ではなく、2人以上で協力しながら進めていくことを、コーリードと呼ぶようです。

自然体で軽やかな2人の様子を見て、参加者も思わず笑顔に。場の温度も心地よく温まっていくのを感じました。

心が動く、声掛けのちから

イベントは、いくつかのワークで構成されていました。特に盛り上がったのは、レゴ®️を使ったワークです。制限時間内に、2グループのうちどちらがより高くレゴ®️を積み上げることができるかを競います。

土曜日の夜7時に、その日に知り合った参加者同士がチームを組み、レゴ®️を積み上げるというのはユニークな光景。

でも、それ以上にユニークだったのはモックンとてっちゃんの声掛けです。

陽気なトーンで、

てっちゃん

たぶん、天井に届くものが作れそうだな!(確信めいた様子)

モックン

そうだね!いけそう!みんな、がんばりましょう!

天井までは3~4mくらいあったので、冷静に考えるとかなり難易度が高い。でも、前向きな声掛けのおかげか「たしかに、いけるかもしれない!!」と気合いが入ります。

結果的に、対決は大白熱!惜しくも天井には届きませんでしたが、参加者の身長をゆうに超える高層タワーが出来上がりました。

 

後で分かったのですが、声掛けにも2人の意図が!

2人は、言葉を通じて

「できるかもしれない!大丈夫そうだ!」

参加者をモチベートしてくれていたのです。

例えば、落ち着いたトーンで

「倒れちゃうかもしれないけど、頑張ってください!」

「できる範囲でいいので頑張ってください!」

と言われていたとしたら、どうでしょう。

声掛け次第では、対決は盛り上がっていなかったかもしれないし、レゴ®️は高く積み上がっていなかったかもしれない。

声掛け以外にも、気持ちをあおるアップテンポな音楽、レゴ®️を高く積むための戦略や、感じたことを思わず書き残したくなる巨大なロール紙など、ワークを盛り上げるための仕掛けは、張り巡らされていました。

見立てができていれば、道のりは自由

ファシリテーションの世界では、“場は水もの”という言葉がよく出てきます。どれだけ準備や想定をしても、実際にやってみないとわからないという意味です。僕自身、この言葉に何度も勇気づけられ、一方で怖さも感じてきました。このことを2人にも聞いてみました。

 

不確実なことが多いなかで、ファシリテーションに怖さを感じますか?

モックン

怖さはないよ。事前に見立てることさえできていれば、あとは実際の場を見て調整するだけ。例えば、今日、自己紹介時に画用紙を床に置くなんて想像していなかったけれど、場の温度をあげたくて試してみた。さらに言えば、結果的にやらなかったけど、あと5つもワークを考えてきていたよ。

てっちゃん

見立てるとは、どんな参加者がきて、どんなことが起こる可能性があるか。何をもって帰ってもらいたいか。最高の状態と最低の状態を想定しておくこと。そこさえ描けていれば、過程は臨機応変にやるだけ。

場と参加者のことを信じる

たくさんの工夫と仕掛けが張り巡らされていた3時間半。各ワークの前後やイベント終盤には、”意図びらき”と称して、ワークや声掛けなどの意図を、一つひとつ明かしてくれる贅沢な時間も。

意図を知るたびに、僕は「なるほど」と唸り続けました。

モックンとてっちゃんの話を聞くうちに、一挙手一投足すべてに意図を感じてくる。まさに意図の沼。

不思議だったのは、仕組まれた2人の意図によって「手のひらのうえで踊らされていた」と不快な気持ちを全く感じなかったことです。

あえて言うなら、2人は「この場で起こることや参加者のことを信じている」ように感じました。

「参加者はそれぞれに学びを持ち帰ってくれる。予定外のことが起きても、それが必ずいい体験になる。」

そんな意志を感じました。

 

「ファシリテーションってなんだろう」

僕がずっと持ち続けているこの問い。絶対的な答えはなく、定義は人によって異なります。現時点での、僕なりの解釈を置くとすれば、「一緒にいる人や場の温度をあげること」。

きっとその手段は、声のトーンでも、声掛けの内容でも、ワークの内容でも、備品の種類でも、なんでもいいのだと思います。

大事なのは、そこに見立てと意図があるのか。そして、場や参加者を信じることができるか。

緻密で大胆なプレイフルな時間を通して、そんなことを思いました。

初対面のメンバーも多い中、3時間半後にはこんなに笑顔に!とってもプレイフルな時間でした!

松井 稜弥
この記事を書いた人 松井 稜弥 COPYWRITER / FACILITATOR
静岡県出身、サッカー好き。小学校と中学校社会科の教員免許を保有。学生時代は、インドやケニアなどで貧困やギャングの過激化防止といった活動を行う。 その後、バングラデシュに住む貧困層の雇用創出を目的とした牛革製品ブランドを展開する企業に新卒で入社。自...
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Post to Slack