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『他者の靴を履く ~アナーキック・エンパシーのすすめ~』を読んで新しい世界を切り開くスキルについて考えた

『他者の靴を履く ~アナーキック・エンパシーのすすめ~』を読んで新しい世界を切り開くスキルについて考えた
こんにちは、エディター(パート採用)のみやざきです。 入社当時、まだ右も左も分からない状態の私が、クオーターバックのオンボーディング研修で目にした会社のバリューに共鳴し、インスパイアされる出来事がありました。 それは、同じ時期に読んだ話題の本『他者の靴を履く ~アナーキック・エンパシーのすすめ~』で感じていたことと偶然にもリンクしていたのです。その奇跡とも言える学びについて、今回はご紹介したいと思います。

大ベストセラー、ブレイディみかこの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』。東洋人の母と英国人の父を持ち、イギリスで現地中学に通う息子さんにまつわるエピソードから、多様性の本質について考えさせられた本でした。『他者の靴を履く~』は、前作の大反響の元となったキーワード「エンパシー」について、さらに考察を深めた副読本です。

エンパシーとは?

「エンパシー」とは、他人の感情や経験などを理解する能力のこと。本の中では、誰にでもイメージしやすいように「自分で誰かの靴を履いてみること」と例えられています。

エンパシーと似ている言葉にシンパシーがあります。違いは以下の通りです。

エンパシー
  • 能力(ability)だから身につけるもの
  • 別にかわいそうだとも思わない相手や、必ずしも同じ意見や考えを持っていない相手に対してその人の立場だったら自分はどうだろうと想像してみる知的作業

―引用元:『他者の靴を履く ~アナーキック・エンパシーのすすめ~』

シンパシー
  • 感情とか行為とか友情とか理解とか人の内側から湧いてくるもの
  • 対象はおなじような意見や関心を持っている人という制約がついている
  • かわいそうだと思う相手や共鳴する相手に対する心の動きや理解やそれに基づく行動

―引用元:『他者の靴を履く ~アナーキック・エンパシーのすすめ~』

 

エンパシーもシンパシーも日本語では「共感」と訳されてしまうこともあります。「共感」という言葉は日本では広く知られていても、その元ネタである「エンパシー」という英単語はあまり知られていないかもしれません。

エンパシーの光、そして影

ここ最近のSDGsの高まりやオリンピック・パラリンピックを経て、「多様性」という言葉は身近になりました。でも、多様性に対してどのように対応したらよいのか、ただ存在を知って受け入れるだけでよいのか、正直わからないなと感じていました。

この本を読み進めるうちに、「エンパシーの能力を身につけることができたら、存在する多様性に対して、素晴らしい世界をともに創造することができるかもしれないな」と少し希望が見い出せたことを覚えています。

  • 他者の靴を履くことが、複合的に物事を見る訓練
  • エンパシーは、それを使う本人の審美眼や洞察力を高めるうえで役立つ能力
  • 他者の靴を履いてみることは、心情や考えを冷静に想像すること
  • 次の一手を打つ決断を下すための材料となる能力

―引用元:『他者の靴を履く ~アナーキック・エンパシーのすすめ~』

 

他者の靴を履いてみるまでのプロセスや注意点も、わかりやすく表現されていて、私の固い頭にもス~ッとイメージが入ってきました。

  • 誰かの靴を履くためには自分の靴を脱がなければならないように、人が変わるときには古い自分が溶ける必要がある
  • belonging(所属)」の感覚に強くはまっていればいるだけ、他者の靴は履けない
  • 自分を手離さず、他者との距離を保ちながら自分の靴を脱いで他者の靴を履いてみる

―引用元:『他者の靴を履く ~アナーキック・エンパシーのすすめ~』

 

また、エンパシーは素晴らしい能力だけどダークサイドな部分もあるよ、ということもきちんと説明してくれていました。実はこの部分、すごく大事だと思うのです。

  • 自らの偏見や先入観による認識の歪みがあると、他者の靴を履いているつもりが、自分の靴で他者の領域をずかずか歩いていることになってしまう
  • 他者の靴を長いこと継続的に履きすぎて、本来の持ち主に返さなくなってしまっている状態(ヘリコプター・ペアレント)
  • 他人の靴を履いて他人の弱点を知る(SNSによる攻撃
  • 靴を履いた対象に自己を支配されてしまって自分の靴を見失ってしまったら元も子もない
  • 他者の靴を履ける人は、他者にも自分の靴を履かせる人でなければならない

―引用元:『他者の靴を履く ~アナーキック・エンパシーのすすめ~』

 

他者に近づこうとするあまり、自分主体になりすぎて知らないうちに距離感を間違えたり、感情移入して、のめりこみすぎたりということは誰しも経験がありますよね。そして、まわりに迷惑をかけたくないと思うあまり、独りよがりになってしまうことも。読んでいて、私自身ハッと気づかされました。

アナーキックエンパシーとは?

アナーキー(anarchy)とは、無政府・無秩序な状態のことですが、この本ではself-governed(自らが自らを統治する)という意味で捉えています。ここには登場しませんが、台湾のデジタル担当大臣のオードリー・タンさんも、アナーキーは「権力に縛られない」という同じような意味でご自身を語られていました。

 

もう少しわかりやすく言うなら、

「わたしがわたし自身を生きる」という思想がアナキズムで、自由に人々が問い、自由に取り壊して、作り変えることができるマインドセットが「アナーキー」です。

 

自分の気持ちや考えを理解することは意外と難しいですよね。でも、他者の経験や考え、感情をシェアしているうちに、自分が感じているものもこういうことじゃないのかと気づくことがあります。だからこそ、ぶれない軸を持つ自己の確立のために、エンパシーとアナーキーはセットで繋げなければならないのです。

頭の中でモヤモヤしている考えを言語化して、自分が納得するためにも必要なことだな、と私も強く感じました。

アナーキックエンパシーは生き延びるためのスキル

自分の靴をわざわざ脱いで他人の靴を履くためには、自然に湧いてくる感情だけでなく、自分の中の考えのフレームを外したり整理したりする作業が必要となります。なのでちょっと踏み出すには覚悟がいりますし、ちょっぴり疲れるかもしれません。

でもエンパシーを働かせて一歩を踏み出せば、頭の中にある、狭い世界の観念から自分自身を解き放つことや、ここではない新しい可能性に気づく自由を手にすることにもつながります。未知との遭遇を想像すると、ワクワクしませんか?

想像力が「違う世界」の存在を信じることを可能にし、それが人の「根もとにある楽天性」になるとすれば、エンパシーはやはり個人が自分のために身につけておくべき能力であり、生き延びるためのスキルだ。

―引用元:『他者の靴を履く ~アナーキック・エンパシーのすすめ~』

QBのバリュー love differenceとのつながり

さて、入社まもなく私が研修期間で学んだことのなかに、クオーターバックの経営方針「CONCEPT BOOK」にある4つのバリューがあります。そのうちのひとつlove difference(違いを活かそう)。これは、「違いはチームのポテンシャル。自分の中のふつうを取り払い、対話を通じて、違いを力に変えていこう」というものです。

 

このワードと説明を目にしたとき、「エンパシーだ!」と私の心にひとすじの光が差しました。(笑)

大丈夫だよ、やってごらん、一緒にやってみようよ、と手を差し伸べられて、さらに後押しされたように思えた瞬間でした。

いま自分が感じてることを意識的に言葉にして話し合う訓練が、エンパシー教育の本質だそうです。クオーターバックでは、月に一度の研修でMB(Make Better)セミナーと呼ばれるものがあります。毎回テーマは違いますが、対話を通じたワークショップが行われ、気づきの共有がメンバーの成長と会社の発展につながっています。

一歩を踏み出そう!

すでにそこにある多様性に気づいて、アクションすることの大切さに改めて気付かされました。

コロナ禍で世の中が見通しにくい時だからこそ、新しい世界につながるヒントとなる本です。是非読んでみてください。

この記事を書いた人 宮﨑 啓子 EDITOR
福岡県出身。人生の節目でいくつか拠点を移し、日本各地に心のふるさとを持つ。食やヘルスケアの領域で商品開発を行う管理栄養士という経歴を経て、出産育児後の社会復帰をきっかけに編集業務を開始。まちづくりコンサルティングを行う会社で、リサーチやライティング...
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