大ベストセラー、ブレイディみかこの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』。東洋人の母と英国人の父を持ち、イギリスで現地中学に通う息子さんにまつわるエピソードから、多様性の本質について考えさせられた本でした。『他者の靴を履く~』は、前作の大反響の元となったキーワード「エンパシー」について、さらに考察を深めた副読本です。
エンパシーとは?
「エンパシー」とは、他人の感情や経験などを理解する能力のこと。本の中では、誰にでもイメージしやすいように「自分で誰かの靴を履いてみること」と例えられています。
エンパシーと似ている言葉にシンパシーがあります。違いは以下の通りです。
エンパシー
- 能力(ability)だから身につけるもの
- 別にかわいそうだとも思わない相手や、必ずしも同じ意見や考えを持っていない相手に対してその人の立場だったら自分はどうだろうと想像してみる知的作業
―引用元:『他者の靴を履く ~アナーキック・エンパシーのすすめ~』
シンパシー
- 感情とか行為とか友情とか理解とか人の内側から湧いてくるもの
- 対象はおなじような意見や関心を持っている人という制約がついている
- かわいそうだと思う相手や共鳴する相手に対する心の動きや理解やそれに基づく行動
―引用元:『他者の靴を履く ~アナーキック・エンパシーのすすめ~』
エンパシーもシンパシーも日本語では「共感」と訳されてしまうこともあります。「共感」という言葉は日本では広く知られていても、その元ネタである「エンパシー」という英単語はあまり知られていないかもしれません。